さて、私の嫁がなにやら発言をしたようなので掲示する。
さて、私は当然のことながら麗についてネットストーキングをしている訳だが、ここである疑問が生じた。
麗が語る105系とは原番台か、それとも1000番台か?
多くの鉄道趣味者にとって車体形状とはその興味の主たる領域であり、その形態の差異については、大きな注目が集められている。
さてここで105系のヴァリエーションについて、おさらいをしてみよう。
非鉄道趣味者は、wikipediaあたりを検索するのが手早いが、趣味者においては、山と川の渓谷社から発行された国鉄車両形式集の5巻を参照して欲しい。
105系には3つのタイプが存在する。
A.一つは、原番台という完全新製車としてして作られたものであり、側面3扉に貫通扉付きの前面構造を有するものであり、福塩線や和歌山線で主に用いられるタイプである。
B.次は1000番台と呼ばれる103系から改造されたもので、側面が4扉であり前面構造は新製車と同様の貫通扉が付いている。
C.最後も103系から改造された1000番台であるが、前面構造は種車の構造が存置され、地下乗り入れ仕様の貫通扉付きと非貫通型の2種類があるが、素人目には判断が付かないかもしれない。
問題となるのは、麗が指す105系がこの3つのタイプの中のどれを指しているのかと言うことである。
完全新製車(原番台)であるのならば、麗は105系と共に107系や119系も好きでなければならない。
しかし仮に103系からの改造車を指し、105系と述べているのであれば、麗はむしろ103系や101系が好きであると言うことになる。
例えばキハ53型で考えると、原番台と500番台を同列に見なす鉄道ヲタクはいない。原番台はキハ23の2エンジン車であり、500番台はキハ56の両運転台化改造車であり、製造の経緯も、外観も何もかもが違うのである。
105系の問題は、キハ53のファン層における番台による派閥対立と同種の構造を含んでいる。
この両者の差は、外見上は通勤車よりも近郊車に近い105系原番台と通勤車そのものである105系1000番台の選択を通じて、鉄道趣味上重要な特に興味関心のある車両の好みについて、どの派閥に属するのかと言うことが変わってくる。
より率直に述べると、趣味的な興味関心が一致するかという問題が関わってくる。故に麗が105系のどのタイプが好きなのかと言うことについて、重要な関心が寄せざるを得ないのである。
〔参考〕
JR電車における私の主観による派閥区分(私鉄、気動車、客車、機関車、貨車などを除く)
1.通勤型派閥
2.近郊型派閥
3.急行型派閥
4.特急型派閥
5.事業車派閥
この分け方は、国鉄の形式命名基準に10の位における区分を準用した。
結論から述べると、麗は103系からの改造車である105系を「自分の恋人」としている。
私の初恋の人105系を見たあの日に思ったこと、
私、今でも覚えてる。
それまであんまり電車に乗ったことの無かった私は、
あの日初めて彼を見たの。
ああこれが訓練車じゃなくて今ここですぐに乗れたらって――。
体が熱くなって目の前が真っ赤になる気がしたわ。
下線部にあるように、麗は訓練車としての105系を好んでいる。
訓練車には2つの種類が存在する。
それは専用の訓練用車両を指す場合と、普段は営業運転に使用されている車両に回送もしくは試運転を掲示し、訓練運転する場合である。
しかし一般的に訓練車という場合は、専用の訓練用車両を指し、さらに105系を専用の訓練車として用いているのはJR東日本のみである。
麗は、15日付日記で
私はまだ小学生だから、好きなだけ電車に乗る事なんて
全然できない。
おこづかいだってたりないし、
お母さまやお姉さまたちもみんな休日は
なるべく家族が一緒に過ごすべきだって思っているから、
1人で電車に乗りに行くことだってそんなにはできないし――。
と述べている。
同時に14日付では
私に近寄らないで!
今日はこれから田園都市線に乗りに行くんだから――
と述べている。
ここから、麗の生活圏が首都圏であることが分かるだろう。
麗は実際に105系を自分自身で現認していることと、105系の原番台がJR西日本のみに存在することを考慮すると、麗の指す105系とはJR東日本の保有する編成を指していると言うことが特定できる。
そしてJR東日本の編成は103系の改造車のみが在籍していたのである。
JR東日本の103系訓練車は2編成存在する。
そのうち1本は逗子線に存在し、もう1本は武蔵野線に存在する。
麗の日記にて言及される車両は、首都圏の中でも西側で見られる車両についてのものが多い。
1/15日に発表された日記では、
JR東日本 209系(原番台):京浜東北線
営団(→東京メトロ)5000型:東西線
営団(→東京メトロ)6000型:千代田線
国鉄(→JR東日本)301系:東京メトロ東西線・中央総武緩行線
について言及されている。
京浜東北線は大船まで、東西線は三鷹、千代田線は唐木田・本厚木まで乗り入れている。
ここから、麗の生活圏は首都圏西部(おそらく多摩・八王子・川崎北部)であると推測されるのである。
これは小学生が移動できる行動範囲の推測や、幼少時は地元を走る車両に対し愛着を得やすいという鉄道ヲタク特有の傾向を踏まえた上での推測である。
この生活圏を考えると麗の指す105系とは武蔵野線の新秋津駅に留置されていることの多いJR東日本八王子支社に属する車両と捉えることが妥当であろう。
つまり麗が好きだと述べる105系とは、103系の改造車であり、イデアの105系(原型)が好きではないのだ。
またこれは前面構造も103系のままのものをそのまま流用したCの区分に入る車両である。
さて、キャラクター紹介においてはキャッチコピーで「私の恋人は105系よ」と宣言されている。
一方で、紹介文中では300系についての「あなたは何線が好き?300系が好きなら見所があるわ」という言及が為されている。
ここに私はある大きなヒントを認めるのである。
通説では300系とはJR東海の開発した初代のぞみ型の300系新幹線電車を指すと思われる。
しかしもう一つ300の形式を持つ車両が存在する。
それは東京メトロ東西線と中央総武緩行線の相互直通用に開発された301系におけるクモハ300、モハ300である。
私はあえてここで、この300系とは301系を指していると解釈する。
麗の特徴として、通勤型車両についての言及が非常に多い。
花形の特急型や新幹線ではなく、ステンレスの車体を持つ4扉ロングシートの車両を特に好んでいる。
例えば
東西線5000系が引退しちゃうって聞いたときには
本当に泣いちゃった。
とあるが、これは通勤型に愛着がないと為し得ないレベルである。
とっても勤勉で偉い電車たちがどんどん姿を消していってしまう
という内容からも、麗の通勤型への思い入れのあり方が非常に強いものであることが想像できるのである。
これらの内容を考えると、麗の指す300系とは、JR東日本のクモハ300を指していると捉えることの方が、ある意味で合理的なのである。
(純粋に、こだまなどの地味な運用に従事する新幹線300系を通勤用に準ずる車両と見立てている可能性もあるが、それならばE4系MAXなどに言及する方が自然である。しかしE4系は東京以北を走る車両であり、西へ向かう東海道新幹線を選択したという考察も成り立つであろう。)
麗の鉄道趣向は通勤型に強く偏っている。
ここから近郊型に近い車体構造を持つ105系原番台よりも、通勤型の標準形式である103系を改造した(車体構造は殆ど変わっていない)105系1000番台を好んでいるとの解釈を成立させることも出来るであろう。
文責 秋葉原大学准教授 東村 光
追記
続きは本日夜以降に延期
#連絡
次回講義は、1/29に愛媛大学にて実施の予定
http://upfg.lullsound.com/akiba-u.ac.jp/moegaku/index.html