2006年06月30日

エンドレス・ミート(前編)

 人は学習しない生き物である。
 賢明なる読者諸氏ならば、いや、そんなことはない。
少なくとも私は東村より貼るかに学習しながら日々を過ごしていると反論するかもしれないが、結論から言えば、それは全て虚構であり、諸氏が日頃、学習成果だと感じている物は完全なる錯覚に過ぎない。

 さて、先週に話は遡る。
ちょっとした集まりがあり、その後簡単な飲み会が終わったのは、23時を幾分か廻った辺りであった。
 私は程良く酔いながら、新調した政府専用機(自転車)―ちょうどこの前日に就航した機材だ――愛媛大学構内を南に向けて順調に走らせていた。
空にかかる月は曇り空にはばれて見えず、街の灯りを反射し白く鈍い光に覆われた夜のこと。
不意にこのまま帰る前に、パムパム君の家を訪ねることにした。
特に何か理由があったわけではないが、彼の家の前を通ると幸いにもまだ灯りと、彼の自転車(米子東号)が停車いるので、呼び鈴を押すとしばらく待たされた後、下着姿のままで出てきた。

 遠慮も無しにズカズカと上がり込み、適当に話す。
おもむろに、明日の夜に焼き肉でも食べないかと提案するとあっさりと承諾した。

 翌日、焼き肉の為にと、夕方頃に官邸(自宅)を出発した。
会場となった某所には、数名の後輩と、ニート王の称号を欲しいままにするさわだたかしさんが、マリオカートに興じていた。
いつもの光景だ。
彼らはいつ、どんなときでも必ずマリオカートをやっている。
時に64であったりDSであったりと、ハードこそ違えどもやっているソフトは同じだ。
その旨を指摘すると、いや、珠にスマブラをやっているじゃないですかと後輩にかえされた。
 程なく、パムパム君がにたもと呼ばれる萌研会長と共に帰ってきた。
彼らが両手に提げるビニール袋には肉が大量に詰まっている。
1970年代の電気炊飯器で米を炊きあがるのを待って、晩餐を始めた。

 2kgで980円。
この肉を6人で食べる……
結論から言うと食べきれなかった。
だが捨てるのは勿体ない………もうここからは自然な発想である。
明日も焼き肉を食べましょう。
そして一日が終わっていった。

 翌日は案の定、朝から雨が降り続いていた。
先月、買い求めた傘―今年なってからもう4本目になる―を差しながらぶらりと大学へ。
今日は米炊き舞台となったので炊飯器を片手に登校すると、別の後輩から
「そんなもの持って学校に来るくらいなら働いて下さい、またしょうもないことを」とまるでニートの様な扱いを受けた。

 怠惰な講義が終わるころになっても、雨足は収まらない。
さて、今日も会場へ赴こうかと思ったとき、携帯が震えた。
メールの着信を知らすランプが点滅する携帯を開くと、パムパム君から炊飯器を持ってこなくてもよいという伝言だった。

 適当な頃合いを見計らっていくと、昨日と同じ面々が昨日と同じくマリオカートをやっている。
既視感にすらならないくらい馴染んだ光景。
彼らはきっと死ぬまでマリオカートをやり続けるのだろう。

 滞りなく準備は進む。
それもそうだ。
昨日全く同じ食事を同じ面々でやっているのだから。
 昨日とほぼ変わらない味の肉をひたすら胃袋に放り込みながら、焼き肉を突く。
パムパム君が突然おかしな事を主張しだした。
「肉、足りなくないかい?」
ちょっと、待て。
それは禁句だ。禁則事項だ。
このタイミングで追加の肉を購入してみろ、明日もこの面子でホットプレートを囲む羽目になるぞ。
 窓の外は相も変わらず雨が降り続き、その面倒さもあって誰も肉を買いに行かない為、自然に話は流れた。

 程良く満腹感を感じる頃、私たちの前に立ちふさがった約2kgの肉は全て消失していた。
今では赤身が残る詩織スチロールトレイにその痕跡を留めるばかりである。
そう、我々は勝利したのだ。
賞味期限と圧倒的な量を克服したのだ。
我々は成長した。
そして、学んだ。
適切な肉の量を。

まるで、我々の勝利を妬むかの様に雨は降り止まなかった。


後編へ続く





posted by 東村氏 at 21:51| Comment(4) | TrackBack(0) | 総務 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
漢6人なら2kgくらい一日で食い切れよ。
俺なら500gはいけるぜ。あー、そこ!納得すんな。
Posted by トング at 2006年07月01日 07:08
なるほど。納得。
Posted by 東村氏 at 2006年07月02日 20:25
いいなぁ
自衛隊の飯は悲惨だからね
うらやましい
なにせカレーに肉五切れ入ってたらラッキーだからさぁ
Posted by 垣原和人 at 2006年07月03日 22:51
ひぎぃ
Posted by 東村氏 at 2006年07月16日 14:55
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