僕は本厚木駅の改札内で、待ち人をしている。
そう、今日は彼が来るのだ。
東村 光。
知る人が知る彼は、秋葉原大学の助教授を自称し、周囲の人間には萌学研究会の総裁と呼ばせている少し頭がアレな人だ。
頭上からゴトゴトと重たい音が響き、彼らが乗っているであろう列車が到着したことが分かった。
夜の10時を廻って少しばかりの上り列車から降りてくる客などそうはいない。
パラパラと降りてきた客に混じって、ヲタくさい茶色のジャケットに身を包んだヲタオーラをまき散らす後ろ姿を見つけた。
「首相ー」
声に反応して振り向いたのは、2ヶ月ぶりに見る東村だった。
何も変わることのない彼の横に、以前に一度だけあったことのあるパムパム君が立っていた。
「こんばんわ。ぷろふぇっさです」
そう、今日はパムパム君も僕の家に泊まるのだ。
東村に勝手に支店認定された、僕のすみかに。
東京郊外の汚い街並み。
地方から出てきた自分には、少し住むにくさを感じる駅前を悠々と東村が歩いていく。
けばけばしいネオンにチェーン店ばかりが広がる本厚木の駅前は、帰宅客でそれなりに賑わっていた。
途中SATYによって、お客さん2人分の食糧と飲み物を買い込む。
東村なんぞどうでもいいが、せっかく松山から出てきたパムパム君の為だ。
夕食は奢りにしよう。
……ちゃっかりと東村も一緒に会計を通し、二人分の夕食を奢ることになった。
いや、別に文句はありませんよ?
8 【闖入者】
家の鍵を開け、客を中に通す。
もう今年になってからだけでも3回は来ている東村は、勝手知ったものとばかりに、いきなり蔵書のコミックに飛びついた。
対してパムパム君は礼儀正しく、部屋の中で静に佇んでいる。
―――なんだよ、この違いは。
パソコンを付け、しゃちょうをskypeで呼び出すと、東村が食いついてきた。
パムパム君の為に夕食をすぐに食べれる様に電子レンジに掛けたり、インスタントの味噌汁を準備する。
少し台所で作業し、居間に戻ると、簡単に片づけてあったはずの居間が散らかっていた。
その中心にはもちろん東村の姿。
ああ、もうこのイラナイ子はーーーー!
部屋中に飛び散った段ボールとパッキン材。
乱雑に広がるコミック類。
中途半端に鞄からはみ出た着替え類。
僕は密かに嘆息しながら、パムパム君に夕食を差しだした。
※ ここのぷろふぇっさ氏の心情描写は全て架空のものです。実在のぷろ氏とはあまり関係がありませんよ、多分。
※ ここの東村氏の行動描写は全て実在のものです。あなたのよく知る東村氏の日常の行動を想起しながらお読み下さい。