2007年01月26日

[書評] 羽のない風力発電

2008年に映画化が決定した中国系イギリス人の伊木公の小説がついに日本語訳で出版されました。
1998年から2000年にかけての返還直前の香港を舞台に、ビクトリアピークの山頂に風力発電を設置した北陸電力の技術スタッフのプロジェクトを描いた隠れた名作です。

印象的であるのは在香港カナダ総領事のフランダイン氏が、仕事が辛いと漏らす作業員たちに「クロヨンを見ろ」と自身が観光したときの体験談を語って聞かす点です。実際に現地に行った事のない作者の妄想力の限界がここに現れています。

クライマックスのシーンでは、風力発電所建設を阻止したいマオイストと香港警察当局のバトルシーンが手に汗を握るほどの迫力を持って展開されます。
作者の前作「伊号潜水艦タイタニックを撃沈せよ」に登場した陸上自衛隊の秘密部隊が香港政庁の二重スパイとして、マオイストを攪乱し、乗っ取られたスターフェリーごと特殊機雷で爆沈する描写は、世界各国からも大きな非難を浴びました。

雄大な構想と荒削りの文章が、読み手にウンザリした読後感を与えてくれます。人生に絶望した人に呼んで貰いたいこの1冊、きっとさらに人生がいやになる事でしょう。

(文責:珠貴志)


posted by 東村氏 at 13:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 総務 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あきらめて勉強しなさいよ
Posted by 化学的読者 at 2007年01月26日 22:55
君はもっと働くべきだ。
Posted by 東村氏 at 2007年01月27日 12:54
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