2005年10月28日

第19次東京旅行記3話バタフライ効果

彼はゆっくりと立ち上がると、窓の傍へと歩み寄った。
夕陽で街が紅く染められていた。

……それはとても綺麗で、何もかもが燃やし尽くされているような感じがした。

彼は窓を背に、私の方へと向き合った。
逆光に彼のシルエットが浮かび上がる。

「薄々は判っていたんだ。もう限界だと言うことが」

幾分か高い背、痩せていると言った表現が似つかわしい華奢な影。
その足下には、パソコンが入っているかのような鞄。

「思い違いだったのさ。『まだ行ける』ってね……でも現実は違っていた。限界は案外早く来た。歪みは生じてしまった」

彼は無造作に足下の鞄を取り上げると、蓋を止めてなかったのかパタリと開いて、中から色んなものがバラバラと散らばり落ちた。

「誰が悪いという訳じゃない。時期が来ただけのこと。いわばこれは必然の結果だった」

まるでその様子は……
彼がゆっくりと崩れて消えていくかのような感じがした。

でも……何故松山を抜け出した?
一体、彼の身に起きた出来事は何なんだ?

遥か彼方の東京で、何を為そうと彼は……

まだ、何も見えてこない。
posted by 東村氏 at 10:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 総務 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック