今日はそんな私の思い出話をしたい。
リ ア ル 電 車 ご っ こ
―――よく晴れた、夏の日のこと。
1988年8月 札幌市
[1]
カンカンカンカン……
踏切の音が響き、2つ並んだ赤いランプが交互に点滅を始めると、じきに黒と黄色の竿がゆっくりとおりてきた。
やがて左側から低いエンジン音を響かせた赤とクリームに塗り分けられた列車が走ってくる。
1台…2台…3台…4台…5台………
列車が目の前を通り過ぎると、踏切の音はぴたりと止み、一呼吸置いて竿があがった。
車、自転車、そして人々が一斉に動き始める。
僕もそんな人々の中の一人だった。
今でも鮮明に覚えているその光景は、実は僕がまだ幼稚園に通っていたときのものだ。
そう、確かあの記憶、母親ともう一組の親子と一緒に公園かどこかに行こうとしていたときのことだったはず。
とても暑い日だったことを覚えている。